「青少年健全育成」と「児童の権利」
しかし、「声無き多数派」とは。如何にして存在証明を?
仮に、本当に多数としても(実際、性的情報が嫌いな人が多いからこそ、「わいせつ物頒布罪」の様な違憲の法律が生き残っているのだろうし)。
多数の感情論に、憲法で規定された「表現の自由」や「法と道徳の分離」が否定されるとは、どんな未開国家ですか。
ところで、石原都知事は、この日記で取り上げたニュースには詳しく書かれていませんが、以下の様に発言された由で。
「アニメフェア参加拒否?来なきゃいいよ、そんな連中は。来年吠えづらかいて来るよ」
これに対し、角川書店の井上社長は、Twitterにて、こう切り返されたそうです。
「来年もアニメフェアがあると思ってるんですかネ?」
尚、この件で、民主党を必要以上に叩くのは、表現規制に反対する立場を取る限り、政治的に、得策ではありません(それに、都条例改悪に、最後まで反対してくれた、民主党の都議諸氏の事も、忘れてはいけません)。
自公では、最初から絶望だということを、弁えましょう。
今回も、ほんの少しですが、内容を是正は出来たのです(「非実在青少年」の用語削除が目立つかも知れませんが、特に、「蔓延の防止」の削除などが大きい様です)。
この都条例改悪が、「児童ポルノ法」改悪への布石だったとしたら、多少なりとて、それを阻止出来た筈です。
次の議会選挙(国政でも地方でも)では、党としての方針として、表現規制に反対しているか、慎重な姿勢の政党所属(それが複数の場合は、より勢力が強い政党)の、表現規制に反対する(乃至は慎重な姿勢を取る)事を明言している候補に投票しましょう(但し、国政選挙の場合、社民党は民主党よりずっと弱いですが、それでも、保坂氏は、支えてあげたいですね)。
自公など、表現規制に積極的な方針の党所属の人は、たとえその人が個人的に表現規制に反対してくれている人でも、気の毒ですが、駄目です。党議拘束というものが有りますし。
都知事については尚の事です。
知事の権限は絶大です。その人次第では、「青少年・治安対策本部」を解体することも、そして条例の改廃も、可能かも知れません。
「直接請求」による条例の改廃・制定を達成する可能性も、無いではないです。
都の場合、都民の有権者20万人以上の署名、そして議会の出席議員の過半の賛成が必要です。知事・副知事の解職も可能です。必要な条件は、もっと面倒ですが。
そう言う話が出るかもしれませんので、都民の皆さんは注意されていて下さい(冬コミなどのイベントで、準備会・開催団体の許可も取らず、勝手にやらないように。渋滞と混雑の原因になります。と言うか、コミックマーケットでは、署名は原則禁止だそうです)。
署名は、「コミック10社会」が行なう旨、角川の社長さんが、Twitterに書かれておられました。
署名20万以上を集める事が出来ても、議会の議決次第ですので、やはり、選挙は大事ですね。
尚、東京都在住でなくても、住民票を東京都に移し、都民になることは、可能ですよ、と。
移転後3ヶ月で、選挙権などが発生します。
次の統一地方選挙は、2011年4月。都知事選は4月10日。
改正された条例の施行は2011年7月からです。
社会人の方は、税金の事などやや面倒になるかも知れませんが、少なくとも、大学生なら、そう言う負担も少ないかと。
この問題に興味と危機感のお有りの、全国の20歳以上の大学生の皆さんだけでも、結集して下されば、結構な人数になりはしませんか。
お正月前後にやっておけば、余裕で間に合う筈です。
2011年3月の、東京国際アニメフェアの、ボロボロの状態での開催か、それとも中止かの直後に、選挙は行なわれます。
石原氏が再出馬するとして、春に民意を問う方が、現時点でのリコールより、効果的かも知れません。
さて、この問題は、子育てとか教育といったことにも、深く関わっている訳ですが。
東京都は(その他の自治体も)、「青少年健全育成条例」を廃して、「子供の権利に関する条約」に基づいた、「子供の権利条例」をこそ作るべきかと考えます。
ちなみに、幾つかの自治体では、既に出来ています。
参考
・子どもの権利条約総合研究所
http://
以下は、或る漫画家さんの日記への書き込みを、加筆の上で転載。
「憲法違反」云々は、どうも、届きにくい様ですので(嘆かわしい事ですが)、もう少し届き易そうな事を書いてみました。
エロいのが普通に読める環境に拒否反応がお有りの人(後、家庭での教育についてとか)は、取り合えず、『ポンコツ家族の取り扱いマニュアル』てブログとかを読まれると良いかと存じます。
・ポンコツ家族の取り扱いマニュアル
http://
・ポンコツ★表現規制問題堂
http://
それと。
石原氏の暴言の数々も、ネットでぐぐると、一覧が複数見れるのですが。
石原氏が好きとか、石原氏を支持するとか語る人は、その数多の内容を、全部把握した上で言われておいでなんですかね。
都の青少年条例が示している様なパターナリズムは、「子供の自己決定権」を認めないって事でもあるのですよね。
そしてそれ(「子供の自己決定権」の否定、乃至は制限)は、或る程度は致し方無いと考えるとしても、保護者(及び、学校ほかの教育機関など)がすべき事です。
そして、子供の自己決定権(この場合、漫画という形で、性的な情報に接する事)を、この場合、法令をもってして制限することは。
この面における、子供の自己決定権の全否定です。
そして、そんな環境下において、子供が、仮に、性的な凶悪犯罪や違法行為(或いは周囲の支援が整っていない状況での妊娠沙汰など)を行なったら、どんな言葉をもって叱る事が出来るでしょうか。
「自分は、子供だから責任が無い。何をしたら善で何をしたら悪か、親も学校も教えてくれない。自分で調べようとしても規制されていた。保護者や国や自治体が、責任を被れ。未成年サイコー」
子供がそうせせら笑った時、返す言葉が有るでしょうか。
或いは、「お前に自己決定権は無い。だが、大人が決めた決まりは守れ。理屈はいいから言う事を聞け」
などという態度を取ったら、信頼や理解が得られるでしょうか。
奴隷や家畜に、自律や自制を期待するなど、虫が良いというものです。
金属バットで頭をカチ割られても致し方無い事でしょう。
或いは、大人にとって不快なものを悉く禁止された子供が、犯罪や自殺などに走らず、ノーリスクを徹底したら、結果、行き着く先は、ヒキコモリ一択かもしれません。
言い換えると、子供に、「自分のやったことには責任を持て。責任の取れないことは軽はずみにするな。そして、前向きに幸せになれ」と教えたいならば、子供の自己決定権(愚行権)を、或る程度は認めなくてはならないと考えます。
そして、して良い事と悪い事、得になる事と損になる事を学習させなければなりません。
それには、自分で考えさせ、自分で決める訓練を施さねばならないのです。
これを、リテラシー能力と言います。
そして、情報が遮断された環境において、正しいリテラシー能力は育たないと考えます。
「児童の権利に関する条約」という国際条約が有り、日本も「批准」しています。
条約は、「批准」しますと、その国家は、その条約に正式に拘束されます。
「批准され国内法に組み込まれた人権条約は憲法に準ずる(あるいは匹敵する)法規範であるので、国内にあっては自治体も人権条約の実施主体として位置づけられ、条約の規定する権利を保障し、権利実現ための諸措置をとらなければならない」(荒牧重人「子どもの権利条約の実施と自治体」永井憲一監修子どもの人権連編『自治体で取り組む子どもの権利条例』 明石書店、1997年)(62頁)
この条約には、「子供の意思表明権」という項目が有ります。
これは「自己決定権」のことであるという意見が有るのですが。
仮にそうでないにしても、条約にはこう有ります。
「自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。」
18歳未満の「青少年(児童)」に対し、一律で、特定の情報の遮断を、法令をもって強制するこの都条例は、上記の条約とはおよそ馴染まないものであるかと考えます。
保護者(&教師、制度によってはオンブズパーソンなども)と子供との、対話と状況に応じた適宜の配慮が、子供の成長の為に、適切な環境を作るかと。
念の為に申し添えますと、裁判所の判例においては、この条約は、青少年云々条例の、「不健全指定」「有害図書類指定」を否定出来る論拠に成り得る物ではない様です
参考
・青少年条例の運用実態と問題点−条例運用の具体的検証を中心として−
http://
(「念の為」からURLまでの段落、2010/12/26追記)。
ちなみに、こんな頁も有りますが。
・広島市子ども条例制定反対HP
http://
http://
《国連の条約は生存や通常の生活が困難な状況にある児童を護るのが趣旨であり、日本での条例制定を疑問視する識者は多い。》
「一応、平和で繁栄している先進国の子供はどうでもいい」って趣旨の条約でもございません。
子供の心が、いい加減な教育環境でズタズタにされる脅威も憂慮すべきものです。
【条約は、基本的な生活基盤の整備が必要な発展途上国の子どもたちだけではなく、いじめや児童虐待など子どもの人権侵害に対する保護が必要な先進国の子どもたちを含むすべての子どもたちを対象として採択されたものです】(豊島区ウェブサイト 《「豊島区子どもの権利に関する条例」(案)について》より)
《1960年代から70年代にかけ、アメリカでは子供にも自己決定権を認めるべきだという思想が広まりました。その結果 多くの学校の規則や規制が緩み、セックスと暴力が蔓延する事態になりました。その後、政策が大幅に転換され、アメリカの学校は規律を回復していきます。自己責任を負えず判断力も未熟な子供に自己決定権を与えることは決して子供の幸福にはつながりません。》
「禁欲主義 教育 アメリカ」で検索されたら、かの国が、現在、ろくな事になっていないことが判りますよ。
・都条例「声無き多数派」に配慮
http://