政府は原発再稼動に向けて邁進。

原発に、無限責任保険を掛けさせていれば、対処出来たのに。
福島の事故も。
そして、未来に有るかも知れない事故にも。

莫大に成るであろう保険料は、電気代に盛り込まざるを得ませんから、電気代も、莫大になりますが。

それが正しい現実なんだから、しょうがない。



・よくある質問:文部科学省
原子力損害賠償制度について教えて欲しいです。
http://www.mext.go.jp/a_menu/genshi_baisho/jiko_baisho/detail/1329117.htm
・一般社団法人 日本原子力産業協会
http://www.jaif.or.jp/ja/seisaku/genbai/mag/shosai02.pdf


原子力損害の賠償に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO147.html

同法第3条。

原子力事故の賠償について「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる」
と、事業者に責任があることを規定。
故意と過失を問わずとも規定。

責任の制限についての規定は無し。
民法の神様と呼ばれる、我妻栄先生が部会長を務める、原子力事業従業員損害補償専門部会報告の中での、この件の考え方の趣旨が、以下の一文。

『(原子力)賠償法は、賠償の対象となる損害の種類も賠償の額も限定していない(したがって民法の一般原則により、限定されない。)』 



あくまで基本は、原子力事業者(電力会社)が、無過失無限賠償責任を負うのです。
それが無理な場合の為(そして斯様な最悪の事態を想定する事が、正しい危機管理)に、予め用意された、二次保険が要るのです。

原発に必要な無限責任保険については、此処などを参照。

http://kakujoho.net/npp/cost.html#dd410
《「保険フォーラム・ライプチヒ」に「ドイツ再生可能エネルギー協会」が委託した研究 Calculating a riskappropriate insurance premium to cover thirdparty liability risks that result from operation of nuclear power plants「原子力発電所の運転の結果生じる第三者賠償責任リスクをカバーする、リスクに見合った保険料の計算」)(pdf)(伴委員提出資料)が、重要な示唆を与えてくれる。
http://www.kotting-uhl.de/cms/default/dokbin/392/392220.calculating_a_riskappropriate_insurance.pdf

100社以上の保険会社に情報を提供している研究機関によるこの分析は、金融部門関係者による初めての試みである。発表は、2011年4月。研究作業は福島の事故の前に行われた。研究結果は、無過失・無限賠償責任を保険会社の保険だけでカバーしようとした場合、鍵になるのは、実際に事故が起きたときに必要となる賠償額を、保険会社側が何年以内に蓄積しておこうとするかであることを示している。1000年に1度の事故の起きる確率は、第一日目も1000年後も同じだから、巨大な賠償額を引き受けた保険会社は、その額が貯まらないうちに事故が起きれば倒産してしまうのである。原発の寿命に見合った短期間に必要額を貯めておこうとすると電気料金が異様に高くなってしまう。実質的に保険は成り立ち得ないというのが結論である。》


原子力損害賠償法3条1項但書。
「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない」
斯様な免責条項が存在しますが。
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科技庁での議論
第3回原子力損害賠償制度専門部会議事要旨(案)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/old/songai/siryo/siryo04/siryo1.htm
1.日時     平成10年9月11日(金)
         午前10:00〜12:00
2.場所     科学技術庁 第7会議室(通産省別館9階)

(5)免責事由(異常に巨大な天災地変)について
事務局より資料3−6に基づき、説明があった後、主に次の質疑応答があった。
(村上)結論は賛成だが、関東大震災の三倍以上とは、何が三倍ということか。また、社会的動乱と異常に巨大な天災地変との関係はどういうものか。
(下山)一般的には、震度・マグニチュード・加速度であろうが、三倍といったときには、おそらく加速度をいったものであろう。関東大震災がコンマ2くらいなので、コンマ6程度のものか。発生した損害の規模でなく、原因、主に地震の規模であろう。
(事務局)社会的動乱とは戦争、内乱等をいい、異常に巨大な天災地変とは別概念である。
(能澤)原子炉は加速度で関東大震災の三倍までは耐えられるよう設計しているだろうが、一般の建物等の被害はそれをはるかに超えるものとなるだろう。
(部会長)異常に巨大なといったときの基準は、現時点では加速度であろうと推定できる。
なお、資料の中で原賠法以外の法律を引いているが、天災その他の不可抗力が「競合したとき」に斟酌できる。異常に巨大な天災地変「によって」生じた損害を免責とする原賠法とは必ずしも同一に論じられないということに注意すべきである。
 これは今回は免責事由に残すが、政府の事後的バックアップにより、国際水準には達しているという理解としたい。」
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この議論では、地震の加速度で「関東大震災の三倍」という意見。
関東大震災   300から400ガル程度
阪神淡路大震災 800ガル程度
東日本大震災(福島第1原発付近) 550ガル程度

今回は揺れそのものについて「加速度」3倍ということは無さげ。
よって、東日本大震災における福島の原発事故については、免責は有り得ません。
民主党政権だろうが自民党政権だろうが、同じことです。


なお、原賠法第16条。
《1 政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。
2  前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。 》

この条項の具体的内容については、以下。

衆議院国会審議(昭和35年5月18日)
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-24.html

《「原子力事業者が、第十六条の規定の場合に、破産してもかまわぬのかということでありますが、決してさようなことは考えておりません。つまり、第三章の損害賠償措置において、賠償措置が十分できない、その額をこえた場合において、原子力事業者に対して必要な援助を行なう援助の内容というものは、補助もあるし、貸付もあるし、融資もありますし、つまり、国の力を相当加えて、被害者に対しての援助を十分いたしますという意味でありますから、逆に言えば、原子力事業者を破産に追い込むまで、原子力事業者だけで被害者の損害を埋めろという意味を持っていない」》

原子力損害賠償支援機構法
http://www.houko.com/00/RINJI/01/H23_094.HTM#s5.2

これらに基づき、国が或る程度は、手当てするにしたって。
其れはつまり、税金です。
電力会社Aの原発事故の後始末を、Aの管内以外の人間が負担する訳です。
実に「現実的」な仕組みであることです。

公正を期するなら、あくまで、A(今回の場合は、つまり、東京電力)が、自力で、どうにかせねば成りません。
国の資金援助で借りた金も、然るべく返さねば成りません(制限の無い賠償責任は、あくまで、「原子力事業者」の物なのです)。

然るべく対応するには、二次保険を前提とした仕組み以外は有り得ません。
当然、電気代も、高額な物となったでしょう。

そして、世論も、電力会社も。
「もっと安全で安価な電力は無いのか」
「送電網を効率化して節電」
「東西周波数の統一か変換」
諸々の方向へ、もっと早くに進んだ事でしょう。

其処を、巧く舵取りして、制度設計において最適解を出す事が、政府の仕事。


過去の長い間においても、そして現在も、政権与党は、自由民主党です。


上記、散々無理難題を言いましたが。
それが困難か、無理であるなら。
最初から、「原発は現実的」とかの詐術を、政府(繰返しますが、大半は、自民党政権)は、使うべきではなかったのです。




■海に流出、東電認める=福島第1の汚染地下水
(時事通信社 - 07月22日 19:02)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201307/2013072200873&g=soc
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=2512989

東京電力は22日、福島第1原発海側の観測井戸などで高濃度の放射性物質が検出された問題について、汚染された地下水が海に流出した可能性があると初めて認めた。推定流出量については「解析が必要」として現時点では不明とした。



 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は同日の記者会見で「汚染を外に出さないことを目標にしており、非常に重く受け止めている」と謝罪した。



 東電によると、5月下旬に最初に汚染が確認された観測井戸周辺の地下水の水位と潮位の変化が連動しており、水が行き来している可能性が高いと判断した。



 その上で、濃度の上昇は水中カーテンなどで囲まれた1〜4号機取水口付近に限られており、港湾内の他の場所や沖合では濃度に変化は見られないとして、影響は限定的との見方を示した。 》