通貨交換協定てなーに?

詳しくもない事について、感情だけで是非を判断するのはやめましょう。
特に、せめて経済問題位は(本当はその他もだが)、レイシズムもファナティックな国粋主義もナシで。


日韓通貨スワップ協定拡大を日本側が受け入れる理由は、韓国の外貨が不足すると「韓国へ輸出した日本企業の代金回収が出来なくなり連鎖倒産等が起こる」から。つまり韓国救済ではなく「日本企業救済」の側面が大きい》

通貨スワップ協定拡大は日本企業救済の側面以外では日本にとって本当に損なのか?ですが、案外そうとも言いきれない。まず最初に「通貨スワップ協定で必要とされる外貨は主にドルである」事が大切です。まあ円建てより圧倒的にドル建ての取引が多いから当然ですが。》

《日本には過去に円高対策として行われた為替介入によってドルが外貨準備として大量に積み上がっています。このドルは国内で使おうとするとドルを売って円を買わなければならないので、円高に拍車を掛ける為に使えません。つまり日本は国内で使えない「塩漬けのドル」を抱えてます。》

《日本としては塩漬けのドルが国内企業の救済に使え、かつ(長期的に見れば)取りっぱぐれしにくいので総合的に見て悪い選択肢ではありません》

《個人的な懸念は「今回の拡大の条件がどうなっているのか?」です。ロイター電では『チェンマイニシアティブで合意しているスワップ限度額据え置き』とあります。これは韓国が、IMFが乗り出してくる事を嫌ったと考えられます。なので外為特会と韓国銀行間で300億ドルの枠組みを設けた訳です。》

《今回の日本の外為特会と韓国銀行の間の300億ドルの枠組みで、IMFがいくら引き出した時点で乗り出してくる事になっているかが非常に心配です。一般的な通貨スワップ協定にあるはずのIMF融資を義務付けといった条件がかなり甘めに設定されているのではないか?という事です。》

《この辺は現時点ではなんとも言えません。今回の通貨スワップ協定拡大は、拡大した事自体はとくに問題ではなく、『どのような条件で拡大したのか?』に注視すべきでしょう。厳しい条件なら悪くない取り決めですし、甘いなら「そんな甘い条件で話を纏めた事」に対して強い非難をすべきだと考えます。》


《「スワップ協定拡大ではなく日本企業に支払えばいいのに」という意見に対しては、直接企業に支払う(損失の補償)よりも、外貨不足による韓国のデフォルトを防いだ方が費用対効果が高いからという回答になります。デフォルトしてしまうと、貿易の代金だけでなく既存の投資への影響も出ますので。》

《韓国への日本の輸出600億ドル以上、対韓国の貿易黒字が400億ドル弱。ある意味上得意客ですな。》




 以下、わりとわかりやすいまとめ(政治的な好悪の発言とかは置いておくとして)

・通貨スワップ通貨スワップ協定のおさらい、そして日韓スワップ協定とかIMFとか - Togetter
http://togetter.com/li/202721

・やる夫が『スワップ協定拡大』について学ぶようです │ キニ速  気になる速報
http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/3106492.html


 報道追加(2011/10/24)。
 経済については専門の日経の記事です。

・ウォン安定へ安全網、日韓の通貨融資枠5倍に:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C889DE1E7E5E1E0EBE6E2E0E2E3E2E0E2E3E39797E3E2E2E2

《ウォン安定へ安全網、日韓の通貨融資枠5倍に
2011/10/20 0:53

 政府・日銀は19日、韓国との通貨スワップ(交換)協定の増額を発表した。ウォンの急落に揺れる韓国に手厚く外貨を融通し、為替市場の安定に協力する。欧州の信用不安による混乱が新興国からの資本流出に飛び火するリスクを未然に防ぐ狙い。アジアの経済安定は日本にも利益となるほか、輸出で競合する韓国の通貨安に歯止めをかける思惑もある。

 通貨スワップは2国間や多国間で、自国通貨と外貨を交換する契約。日韓は従来の130億ドルの枠を5倍超の700億ドルに拡大した。韓国はウォンを日本に渡し、米ドルと日本円を受け取れる。外貨は外国為替市場で自国通貨を買い支えるための為替介入や貿易決済の資金に使う。

 契約は双方向だが、「日本が外貨の提供を受ける事態は想定していない」(財務省幹部)。目的はウォン相場の安定だ。韓国政府にドル資金を提供し、ウォン急落時のウォン買い・ドル売り介入の原資とする。実際に介入しなくても潤沢な原資を用意することで、ウォン売りを仕掛ける投機筋へのけん制効果を持たせる。

 韓国など新興国の通貨安の背景には、欧州の信用不安を発端に世界でリスク回避の動きが広がってきたことがある。

 新興国は国内貯蓄が十分でなく、投資資金を海外に頼るケースが多い。金融不安が広がると、先進国に比べリスクの高い新興国から真っ先に投資マネーが引き揚げる「キャピタル・フライト(資本逃避)」が起きやすい。投資が急激に落ち込み、経済に深刻な打撃を与える。

 アジア域内では1997年のアジア通貨危機の教訓から、多国間のスワップ協定である「チェンマイ・イニシアチブ」を締結。日韓間にも100億ドルのドル融通枠が既にある。ただ同協定は金融危機時の利用が前提。今回は危機に至る前の平時の融通枠を増強する趣旨だ。

 重要な輸出相手国である韓国経済が低迷すれば、日本の輸出企業も無傷では済まない。通貨スワップの増強で韓国経済の落ち込みを防ぐことが、日本の利益を守ることにつながる。

 また大幅な円高・ウォン安で、日本の輸出企業は韓国企業との価格競争で不利な立場にあった。過度なウォン安是正に日本が協力すれば、間接的に日本の製造業の支援にもなる。

 今月14〜15日に仏パリで開いた20カ国・地域(G20)財務相中央銀行総裁会議では、各国の行動計画に「新興国が、変動する資本フローへの強じん性を高める」ことを盛り込んだ。今回の日韓協定はこうした取り組みを2国間で具体化する意味合いもある。》


・日韓が外貨融通を5倍以上に拡大、リーマンショック時上回る規模
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1781682&media_id=52