環境庁設置時も、無駄呼ばわりされた由。
こうした事象について、詳しく調べようともせず、したり面で否定に掛かる御仁もまた、「肉屋を支持する豚」、と呼べましょうな。
環境省としては、CO2も嫌だが、放射線や放射性廃棄物は更に怖いてことですかね。
大体が、環境省は、元々が公害対策で出来た省庁ですし。
それと、《「原発ムラ」の解体》という視点も持っておきたいものです。
原発をチェックする「原子力安全・保安院」が、原発を推進する経済産業省と資源エネルギー庁に属していたと言うのが、チェック体制的にも有り得ない、歪な物だったのですよ。
尚、アメリカの原発チェック機関は、大統領直属のようです。
日本でも、内閣府に所属させようと言う意見が有りましたが、そうならなかったのは、日本の首相は、制度的に、米大統領ほど強い権限が無いと言うのも一因かも知れません。
「ハコ」(ムラとか縄張りとか)が変わると、中身(役人達)の意識も変わるのではと、期待したいものです。
何せ、「ノーリターン」である以上、かつては経済産業省の役人だった人間であっても、新天地では、真面目に、建前通りの仕事をしないと、官僚としての将来の展望が終了してしまいますから。
脱原発について、否定的な人が後を絶ちませんが。
環境省もCO2削減の点から原発を推進してきたとか何とか。
環境省は、「再生可能エネルギー」(お馴染みの水力以外の諸々の新エネルギー含む)についても関与する立場です。
生臭い事を言えば、そっちの方面での利権も有るのやも知れませんが、原発みたいな無闇な放射線を出さないなら、結構な事です。
・再生可能エネルギーの導入可能量は5億kW、環境省調査:政策・法規制:ECO JAPAN −成長と共生の未来へ−
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《国内の再生可能エネルギーの導入可能量が4億9150万kWに達することがわかった。環境省は4月21日、太陽光発電、風力発電、中小水力発電、地熱発電の導入可能量を推計、公表した。全国の発電設備容量は2009年度で約2億kW。発電設備の稼働率にもよるが、再生可能エネルギーだけで日本の電力需要を賄えることになる。
政府は、今年3月に閣議決定した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案(FIT法案)」に基づいて、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度(フィード・イン・タリフ=FIT)を2012年度に導入する考え。同制度を導入し、かつ技術革新が進んで発電設備コストを大幅に削減できた場合の導入量を試算した。
内訳は、太陽光発電が20万〜7200万kW、風力発電が4億1000万kW、中小水力発電が430万kW、地熱発電が520万kWである。ほかにも事業費の一部を補助した場合など複数のシナリオ別に導入量を試算している。事業性を考慮しない場合、合計20億7800万kWを導入できる可能性を秘める。 》
こっちの数字だと、ベース電源として、原発の有力な代替と成り得ると、わたくしが考えていた地熱発電は、2%程度と見込まれていますね(中型原子炉10基分)。
元のソース
・環境省 報道発表資料−平成23年4月21日−平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査の結果について(お知らせ)
http://
別の記事
・風力発電の実力は「控えめにみても全体の7割可能」――環境省 (オルタナ) - Yahoo!ニュース
http://
レスター・ブラウン( LESTER R.BROWN)氏によると、日本は地熱発電で国内電力の半分、もしかして、全部を賄えるかもしれない由です。
・レスター・ブラウン氏に学ぶ「地球温暖化防止」
http://
・日本はもっと地熱発電を 米国の環境学者 レスター・ブラウン氏提言 - 武田信弘のジオログ(ブログ) - Yahoo!ジオシティーズ
http://
・ブログテーマ[地球資源問題]|ひろむの一言メモ
http://
尚、上で紹介されていた記事では、以下の様にも有りました。
《村岡洋文さんらの研究では、(1)現在の地熱技術で、日本で開発可能なエネルギー量は年間2347万キロワット。全電力の8・6%を賄える(2)さらに深部の地熱資源を利用できる技術開発で、22・7%に上がる(3)「どんなに早くても開発に五十年はかかるが」(村岡さん)マグマ熱を直接使えるようになると、全国電力需要の三倍近くを賄える−という。》
8.6%でも、結構大きな数字と考えます。
国立公園・国定公園を開発出来る様、法が改正されている事を前提とした数字と思われますが。
便利なWIKIより。
・地熱発電 - Wikipedia
http://
《H22年度の環境省によるポテンシャル調査[注]では、理論的埋蔵量である「賦存量」は設備量にして約3300万kWと見積もっている。》
《経済大国である日本全土の莫大な総発電量からすると、国内地熱発電の割合は0.2%を担うに過ぎない。53万キロワットは、福島第一原子力発電所や美浜原子力発電所などにある中型原子炉1基分にすぎない。》
注:平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査調査報告書、環境省、平成23年3月
http://
上の数字だと、「賦存量」を設備量にして、約3300万kW。
これをフルに利用出来れば、およそ12%ですか。
実際に使えそうな数字は更に下がりますが、国立公園・国定公園を開発出来るように法が改正されれば(環境省調査についても言えます)、また違ってくるかと。
で、以下の様な話も有りました。
・地熱発電を後押し 国立公園の規制など環境省が緩和検討 - MSN産経ニュース
http://
《国内には、3300万キロワット規模の熱水資源に対し、推計で原発10基分(1400万キロワット)の出力が可能な地熱発電所の開発地点があるが、現在の出力は約54万キロワットにとどまっている。》
こっちの数字ですと、14000万kwという事は、総電力のうちの5%を賄える事になりますか。
・自然エネルギー復興にはやはり政府のインセンティブが必要ですね - 見えるものとの対話
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《財団法人エネルギー総合工学研究所の数年前の紀要からの引用です。地熱発電、海外ではどんどん伸びているのに日本では1997年橋本内閣の時代に予算外されて放置されてるんですね。
(中略)
日本での問題の理由と克服方法については次のように述べられています。
1. 国の政策的導入目標が0となっている
2. 初期投資リスクに対する国のコスト優遇策が他国に比べて低い(例えば,蒸気フラッシュ発電をRPS[Renewable Portfolio Standard]法の対象外としているのはわが国のみ)
3. 許認可優遇策が低い(ドイツの「再生可能エネルギー法」やインドネシアの「地熱法」のような一括法がなく,多数の個別法の適用を受けるため,長い開発リードタイムを要する)
4. 地熱技術開発が2002年度に停止された(主要地熱資源国ではわが国のみ)
等々による。また,わが国特有の障壁として,ほとんどの火山地熱地域を網羅した国立公園の開発規制と2007年3月現在28,154個も存在する温泉泉源との摩擦の問題がある。例えば,最近の我々の研究によれば,日本の150℃以上の熱水系資源分布域の81.9%が国立公園の特別保護地区・特別地域にあって,開発が規制されている (4)。これらほとんど全ての障壁は政策的に克服可能である。 》
・財団法人エネルギー総合工学研究所の数年前の紀要
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全量固定価格買い取り制度(FIT)は、 重要な転換点に成りそうです。
自動車について触れておきます。
燃費効率で言うと、電気自動車は、夜間に蓄電しておくなら、ガソリンよりも格段にお得な様です。
2009年以降発売予定の高性能リチウムイオン電池を搭載した乗用車タイプの電気自動車で 走行距離160km(満充電時)。
交通安全公団の報告書によると一般自動車の一日平均走行距離は 30?の由です。
http://
《1日の平均走行距離が30kmだとすると年 間で約1万kmとなり、年間の電気代は約2 万円弱になります。(表参照) ガソリン自動車と比較すると年間で約6万円 以上の燃料費(電気代)の節減になります。》
普及すれば、大局的に、化石燃料の節約と、CO2削減にも繋がろうかと。
「スマートグリッド」構築にも有意なのですが。
節電の時流に反しているとか、頓珍漢なことを言う方々には敵いませんな。
火力発電についても少し。
「ガスタービン火力」と言うのが話題ですが、「石炭ガス化複合発電」という物も有る由で。
日本にもそれなりに埋蔵されている石炭を(輸入した方が割に合うみたいですが)、CO2排出において、石油と同等に出来ると言うのが良いですね。
「原発の安価さ」についても触れておきます。
・実は誰も分かっていない原発のコスト:地球温暖化:ECO JAPAN −成長と共生の未来へ−http://
・よくわかる原子力 - 原子力は本当に安い?
http://
・NEWSポストセブン|1kWh原発コスト10.69円で火力9.90円と比べ安くないと専門家
http://
《震災を受けて日本では脱原発の議論が高まっているが、それにはコストの議論が不可欠だ。原発のコストは安くないとする武田邦彦・中部大教授と小出裕章・京都大学原子炉実験所助教の意見を紹介する。
* * *
【武田】原発のコストが安いわけではなく、「原発の一部のコストを見れば安い」ということだ。原発にかかるコストには、研究費、設計、開発費、運転費、廃棄物処理費などがある。これらのうち、研究費、設計・開発費、廃棄物処理費には、原子力関係予算として国から資金が投入されてきた。また、原発受け入れ自治体への交付金の財源は税金だ。
要するに東電は、運転にしかコストをかけていないと言っていい。だから「安い」という計算が成り立つ。今、損害賠償でさえ、東電には払いきれないから国が責任を持つという議論が出ているが、それを入れればコストが高くなるのは自明だ。
【小出】「原子力は1kWhあたり5〜6円のコストで発電できる」という資料もあるが、それは政府が都合のいいデータを集めて計算した「モデル試算」の値だ。
有価証券報告書のデータで計算すると、1970年から2007年までの総単価(発電単価、開発単価、立地単価)を調べると、1kWhあたり、原子力が10.69円、火力が9.90円、一般水力が3.98円、揚水が53.54円となっている。これを見ると、原子力のコストが安いと言えるわけではないのがわかる。
つまり、コストは試算の前提条件によってかなり変わるのであり、政府は原発を推進するために「安い」というイメージを流布しようとしていることを覚えておかなくてはならない。
※SAPIO2011年6月15日号》
ここが、ちょい面白かったのでご紹介。
・脱原発は可能か? 統計で分析してみた - SKY NOTE
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《最近は有り難いことにインターネットを調べれば必要な情報が簡単に手に入る。そこで、原発を廃止しても大丈夫かどうかを、具体的な数字によって検証してみることにした。本来であれば、マスメディアが、この種のデータを開示して説明するべきなのだが、大手マスメディアのほとんどすべてが電力会社と何らかの形で癒着していると見られるため、それが望めない。そこで私が調べてみることにした。これを調べるのに時間がかかり、昨日のblogの更新が出来なかった。前置きはこれくらいにして、結論から言えば、脱原発は可能である。
新しい火力発電所が稼働する2013年までは綱渡りだが出来ないことはないという感じだ。》
《まとめ
調べた結果、脱原発は今すぐ可能である。予備率が若干少なくなるが、そこは省エネを進めたり、自然エネルギーを普及させれば、上げることは可能だ。マスコミは、今すぐ脱原発は出来ない、夢想だといっているが、彼らが一度でも私のようにそろばんを弾いてきちんと説明したことがあっただろうか?ないだろう。よく電力がない、不安だとわめいているテレビを見ると、それが一体どれくらい足りないのかということが知りたくなるが、そういうことは全然、報道されない。私の死んだ義父ならば、「そんなもん、調べて計算すれば分かるじゃねぇか、おまえは足し算もできねぇのか?」と言っただろう。というわけで、疑問に思えば、不安だとわめく前に、きちんと調べるというきわめてオーソドックスな事をしてみました。こういう普通のことを、しないで、ただ不安だ、不安だとわめくのは、非常におかしいわけです。そのおかしさが今の日本の問題点であります。日本は、当たり前のこともまともにできない癒着大国なのです。》
これらの問題は、そのうち、整理整頓したまとめを作りたいですね。
最後になりますが、夏コミご参加の皆様、お疲れ様でした。
■原子力安全庁の設置を閣議決定…来年4月発足へ
(読売新聞 - 08月15日 11:43)
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