アベノミクスと格差・貧困

J・E・スティグリッツ教授(ノーベル経済学賞受賞)。
リフレ政策支持、格差問題を憂慮、反グローバリズム、「再分配」重視の御意見。
選挙の争点・経済政策への判断材料として有意。


「3本目の矢は、単なる成長戦略ではなく、格差是正に配慮することが欠かせないのです」
「所得上位1%の人は下位の人に比べ、収入を消費に回す比率が低いので、所得再分配をしたほうが経済を刺激できます。再分配は経済を刺激し、成長させるための有効な手段のひとつなのです」

残念ながら、現政権・安倍自民は、この点で失格の模様。

非正規労働者 過去最高38% NHKニュース 
http://cache.yahoofs.jp/search/cache?c=gSC-u-8SZnMJ&p=%E9%9D%9E%E6%AD%A3%E8%A6%8F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85+NHK&u=www3.nhk.or.jp%2Fnews%2Fhtml%2F20130713%2Fk10013018051000
非正規労働者 2000万人超す
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-14/2013071401_03_1.html

生活保護を叩き、ブラック企業の象徴の如きワタミ・渡邊美樹を選挙で比例候補に擁立し。
その一方で解雇規制緩和
社会保障政策を聖域にしないなどと公言。

ワタミに到っては、演説で斯様に。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/90354
「日本のこの国を立て直すとしたらですよ。確かに社会保障費、そう動かせないお金もあります。しかし半分にしたらですよ。この国、立ち直るんですよ!」

そもそも、少子化対策でもあった「子ども手当て」「高校無償化」を、「バラマキ」と罵ってた政党ですものね。

で、選択的夫婦別姓制度反対は元より。
憲法改正草案には、「家族の助け合い」を入れる始末。
子殺しに追い詰められる未熟な親が、確実に増える。
そんなに、子供を作り辛い(≒国民を増やし辛い)状況を構築したいか。

企業には金を流しても、人間は、二の次の模様。
「コンクリート」も「人」も、どっちも重要な筈なのですが。



教授は、TPPにも否定的。
「TPPは自由貿易というより管理貿易的で、多角的自由貿易体制を傷つける恐れがあります。中国が参加していないこともあって、TPPで(中国と分断されるなど)アジアの部品供給網や域内貿易が損なわれかねません」


朝日新聞デジタル:TPP「日米国民のためにならぬ可能性」 米大教授 - 経済・マネー
http://www.asahi.com/business/update/0322/TKY201303220320.html
《環太平洋経済連携協定(TPP)について、「日米両国の国民のためにならない可能性がある」とクギを刺した》




「3本目の矢」自体、現状、斯様な評価です。

アベノミクス、3本目の矢は「期待外れ」 米紙WSJが社説で報じる J-CASTニュース
http://www.j-cast.com/2013/06/08176870.html?p=all
アベノミクスの3本の矢はすでにボロボロ 植草一秀の『知られざる真実』
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-77dc.html
時事ドットコム:【図解・政治】参院選アベノミクス「三本の矢」(2013年6月)
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_election-sangiin20130627j-03-w400
・不発に終わったアベノミクス第3の矢 (英エコノミスト誌 2013年6月15日号) 
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38030
日本株式会社、アベノミクスに踊らず−届くか「三本目の矢」 - Bloomberg 
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMSCKF6K50Z301.html
安倍総理が本当に話したこと(3本目の矢) 経済ニュースゼミ - ライブドアブログ
http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/archives/51538775.html


この状況で、消費増税も、予定通りの由。
消費税は、景気の為には、下記の通り、スティグリッツ教授も否定する所なのですが。

東京新聞消費増税「予定通り」 麻生財務相が意欲表明経済(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013072102000109.html


さて、21日は、良識の府参議院の選挙の投票日。
私は、期日前投票で、政策面では概ね完璧(カジノ反対だけは頂けないが)、尚且つ上り調子と思われる、日本共産党に入れてきましたが。

現政権与党の経済政策を、基本は支持で。
且つ、自民の暴走、そのカルト的側面は懸念。
改憲表現規制等には反対、格差・貧困問題軽視を批判、3本目の矢の内容の乏しさに失望、消費増税時期尚早、て意見の御方であるならば。

公明党」という選択肢も、有ろうかと存じます。
創価だって、まあアレですが。
社会保障政策を多少は重視していて、改憲に慎重なだけでも、だいぶんマシな方ですよ。
特に、比例なら、「死票」にも成り辛いですし。


選挙制度について、何回も言ってる事ですが、念の為。

参院選比例区における、「非拘束名簿式」においては。
立候補者名簿に順位を記載せず、立候補者の得票数によって名簿順位を決定します。
有権者は、政党または立候補者に投票します。
政党票と、政党に属する立候補者の票を合算した上で、まず、政党の得票となり、その獲得議席数を決定するのです。
各政党に配分された議席数の中で、候補者の氏名による得票数の多い順に、当選人が決定します。

個人名で書かれた票は、その所属政党の得票に反映される為、個人への票が、他者への票の横流しになるという点が有ります。
大量得票・組織票が有る候補者が居る政党では、その者の得票によって、他の得票数の少ない候補者を助ける事が可能となります。


流布しているデマは、自民支持で反ワタミの場合、ワタミ以外の自民比例候補者名を書けば、ワタミを落とせる、と言います。
ですが、斯様な場合で、候補者の処遇について変化するものは、その政党での比例候補者の、当選の優先序列でしかないのです。
よって、名指しでの得票が少なく、序列下位になった比例候補者であっても、党としての大勝に伴い、当選確率は上がるのです。

参考
比例代表選出議員選挙の当選人の決定方法について教えてください。:練馬区公式ホームページ
参議院議員選挙における非拘束名簿式について教えてください。」
http://www.city.nerima.tokyo.jp/faq/senkyo/hireidaihyou.html

ワタミ落選に、有意な行動を取りたいならば。
比例において、投票用紙に、自民党関係以外の政党名、またはその候補者名を書くしか有りません。




アベノミクスを評価したスティグリッツ教授が言いたいこと 経済ニュースゼミ - ライブドアブログ
http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/archives/51517346.html

朝日新聞デジタル:(2013参院選アベノミクスに欠けるもの ジョセフ・スティグリッツさん - ニュース
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201306140544.html

朝日が有料記事なので、以下も参照。

・Kb's ((2013参院選アベノミクスに欠けるもの ジョセフ・スティグリッツさん)
http://keebow.tumblr.com/post/53091620642/2013


《豊かさを分かちあえる経済社会への変革を説くノーベル賞経済学者、ジョセフ・スティグリッツ教授が安倍政権の経済政策「アベノミクス」支持を表明》

《 ――円安で輸出産業の採算が回復した半面、輸入物価の上昇が生活を直撃しています。アベノミクスが目指す2%の物価上昇や、消費増税で暮らしはさらに圧迫されます。

 「アベノミクスが成功すれば、やがて人びとの実質所得が増えていくでしょう。経済成長率が高まれば、増税にも対処できるようになり、暮らしはよくなるはずです」

     ■     ■

 ――しかし、成長でみんなが豊かになれるとは限りません。

 「そこが重要な点です。格差(不平等)の問題に向きあわなくてはいけない。GDPが増えても、大半の人びとの暮らしが悪化すれば、幸せになれません。そういう事態が米国で起きた。2009年から11年までの景気回復で、GDPの増加分の1・2倍ものお金を、所得上位1%の富裕層が手に入れてしまったので、99%の人びとは、一層貧しくなりました。日本もそうならないよう、所得再分配を工夫しなければなりません。3本目の矢は、単なる成長戦略ではなく、格差是正に配慮することが欠かせないのです」

 「成長は、それ自体が目的ではないし、GDPは豊かさの尺度として欠陥が多い。重要なのは環境保全も含めて、すべての市民の生活の質や福祉水準を高めることです。だからこそ所得の分配と、誰が政策の恩恵を受けるかということに、私たちは敏感でなければいけません」

 ――近著「世界の99%を貧困にする経済」で、所得再分配がみんなを豊かにすると説いていますね。

 「所得上位1%の人は下位の人に比べ、収入を消費に回す比率が低いので、所得再分配をしたほうが経済を刺激できます。再分配は経済を刺激し、成長させるための有効な手段のひとつなのです」》

《――消費増税については。

 「消費税は、貧しい人びとの負担がきついという逆進性を持つ悪税です。しかもデフレを悪化させます。日本は来春の消費増税を計画していますが、おそらく時期尚早でしょう。まずは経済の成長を回復し、それから増税するのが順当なやりかたです。増税するなら消費税ではなく(化石燃料の消費に課す)炭素税を導入すべきです。逆進的ではないし、二酸化炭素の排出を減らしたり、エネルギー効率をよくしたりするための技術開発や設備投資が進むから、経済にもプラスです」

 ――それでも消費税を引き上げるとしたら、何をすべきでしょう。

 「増税による税収の増加分と同じ額だけ支出を増やせば、経済への打撃を避けることができます。これは、均衡予算乗数という考えです。そのさい、低所得の人びとへの再分配につながる支出をすれば、消費やGDPをいっそう増やす効果があります。企業減税で刺激をというのでは、効果を期待できません」

 ――安倍政権が交渉参加に踏み切った環太平洋経済連携協定(TPP)については。

 「日本の人びとは気をつけてほしい。TPP交渉に臨んでいる米政府関係者は必ずしも米国民の利益を反映しておらず、製薬企業や娯楽産業といった業界の利益を代弁しがちなのです。しかもTPPは自由貿易というより管理貿易的で、多角的自由貿易体制を傷つける恐れがあります。中国が参加していないこともあって、TPPで(中国と分断されるなど)アジアの部品供給網や域内貿易が損なわれかねません」

 「米政府の主張の問題はほかにもあります。日本にコメの保護をなくすよう求めてきましたが、米国の農産物保護はなくそうとしない。知的財産権の保護強化で、人びとが安い後発医薬品を入手しにくくなる恐れもあります。遺伝子組み換え食品の情報公開には後ろ向きで、これは米国民の利益にも反します」》

《――世界中で、若者をはじめ多くの人びとが失業や貧困に苦しんでいます。解決策は。

 「まずは経済成長によって全体の失業率を下げることが有効です。しかしそれだけではなく、教育制度を改善することが必要です。いまの教育は、すでに存在している職業を意識してつくられていますが、仕事の現場は変革の波に洗われています。生涯学習という観点で取り組みを強化しなければなりません」

     *

 Joseph Stiglitz 米コロンビア大学教授 43年生まれ。世界銀行副総裁を経て00年から現職。01年ノーベル経済学賞。近著「世界の99%を貧困にする経済」》




・21日投開票 ねじれ解消が焦点
http://senkyo.mainichi.jp/news/20130721ddm001010052000c.html
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=2511119

《第23回参院選は21日、投開票される。昨年12月の第2次安倍政権の発足以来初の大型国政選挙となる。安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の評価や、選挙後を見据えた改憲の動きなどが問われる。与党は優勢を維持しており、参院過半数を確保して「ねじれ国会」が解消するかも焦点だ。121の改選議席(選挙区73、比例代表48)に対し立候補者数は433人(選挙区271人、比例代表162人)で、21日深夜にも大勢が判明する。



 「家計を潤していくためには強い経済を取り戻さないといけない。この道しかない」。首相は選挙戦最終日の20日、町工場の多い東京都大田区の街頭演説で、経済政策の継続を訴えた。これに先立つ山形県寒河江市の街頭演説では、アベノミクスは期待先行で実感に乏しいとの野党の批判を意識し、「山形県にはサクランボや米沢牛がある。海外に輸出すれば値段も上がる」と農業への効果も強調した。選挙戦では改憲など安倍カラーは抑え気味だったが、最後の訴えとなった東京・秋葉原の街頭演説では「誇りある国を作っていくために憲法を変えていこう」と訴えた。



 序盤から自民の「1強」状態が伝えられ、野党側は争点作りに苦しんだ。与野党幹部からは関心低下や低投票率を懸念する声が出ている。20日は公明党からも「自民独り勝ち」をけん制する発言が飛び出した。山口那津男代表は横浜市の街頭演説で「自民党が単独で過半数を取ればちょっと心配だ」と与党としては異例の言及をした。



 改憲に関しても「議論が不十分」と政権の「歯止め役」を強調し、自民党が積極的な原発再稼働を巡っても「立地自治体の住民の理解が得られない原発は安易に再稼働できない」と述べた。公明党も存在感を示そうと躍起になっている。



 選挙戦では経済を前面に出す自民に対し、野党側はアベノミクスの副作用を問題にしたが、終始反論に苦慮。終盤戦では別の論点での攻撃も試みた。民主党海江田万里代表は20日、神戸市で「自民党社会保障を後回しにした公共事業の大盤振る舞いだ」と述べ、公共事業偏重の過去に戻ったと批判した。みんなの党渡辺喜美代表も横浜市で「全国一律の公共事業のバラマキはまさにかつての自民党だ」と述べた。



 だが、日本維新の会橋下徹共同代表は大阪市で、自民党批判と同時に民主党に対しても「公務員労組依存だ」と指摘。共産党志位和夫委員長は川崎市で「自公両党と一緒に暴走したのが民主党政権だ」と語った。終盤戦は改選数2以上の複数区で野党同士が争う情勢になっており、互いの批判にも力が入る。結果として、対自民の対立軸はなかなか明確にならなかった。



 社民党福島瑞穂党首も東京都内で改憲阻止を訴えた。生活の党の小沢一郎代表は新潟市社会保障の充実を、みどりの風谷岡郁子代表は名古屋市で環太平洋パートナーシップ協定(TPP)反対を訴えた。【竹島一登】》